沖縄の伝統行事のひとつ「ハーリー」。海人が船にのって競うレースに合わせて、各種イベントが開催されます。中国や香港などの東シナ海沿岸部で旧暦の5月5日に行われる 龍舟(ドラゴンボート)と同じ起源の行事と言われています。
沖縄での「ハーリー」のはじまりは、1390年頃、豊見城の城主で後に南山王となった汪応祖(おうおうそ)が中国で見てきた龍舟を豊見城城下で開催したものとされています。
廃藩置県後は、王朝主催のハーリーは途絶えてしまいましたが、現在、沖縄各地でハーリーは復活し、地域の人々にとって大切な伝統行事として親しまれています。
今回は、近年観光客にも人気となっている「那覇ハーリー」の魅力と、沖縄県内各地で開催されるハーリーについてご紹介します。
(出典:糸満市より写真提供)
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沖縄伝統のお祭り「ハーリー」ってなに?

(出典:糸満市より写真提供)
海人のレース、ハーリー
今から600年ほど前の琉球王朝時代に、中国から伝来したと言われている「ハーリー」。海人(うみんちゅ)たちが豊漁や航海の安全祈願し、「サバニ」と呼ばれる沖縄の伝統的な小型漁船や船首に竜頭、船の後部に竜美尾の装飾がされた大型の“爬龍船(はりゅうせん)”でレースを行う行事です。
「ハーリー」は沖縄県内各地で開催され、開催日は主に旧暦の5月4日(ユッカヌヒー)。地域によっては、ゴールデンウィークや旧暦7月の海神祭(ウンジャミ)などの行事とあわせて行います。
ちなみに、旧暦の5月4日は、新暦の5月下旬~6月頃です。
沖縄県各地で開催されるハーリー
那覇ハーリー
那覇市の一大イベント「那覇ハーリー」。観光客にも楽しんでもらおうと毎年ゴールデンウィークの3日間那覇新港埠頭で行われます。那覇ハーリーでは、他の地域で使われるサバニと違い、全長14.55メートルの爬龍船(はりゅうせん)が使われ迫力満点です。
糸満ハーレー
旧暦5月4日に糸満漁港中地区内で開催され、糸満市最大のイベントです。糸満ではハーリーではなく“ハーレー”と呼びます。
読谷村ハーリー大会
毎年6月下旬~7月の日曜日に、沖縄本島中部の読谷(よみたん)村にある宇座(うざ)海岸で行われるハーリー大会。読谷村のハーリーは、職場や友達同士、自治会、学生が参加する地域のイベントとして定着しています。
前兼久ハーリー
旧暦5月4日、沖縄本島北部西海岸の恩納(おんな)村にある前兼久(まえがねく)漁港で行われ、1901年から始まった100年以上の歴史があるハーリです。
嘉手納ハーリー
毎年6月~7月上旬頃の日曜日に沖縄本島中部の嘉手納町にある嘉手納漁港で行われます。
北谷ニライハーリー
毎年、梅雨明け後の日曜日に沖縄本島中部の北谷町フィッシャリーナ整備用地(うみんちゅワーフ隣)で行わわれます。海人や男性だけでなく、小、中学生対象のこどもハーリー、女性対象の女子ハーリーもあります。
港川ハーレー
旧暦の5月4日、沖縄本島南部の八重瀬町にある港川漁港で開催されます。港川では糸満と同じく“ハーレー”と呼びます。
久米島ハーリー
旧暦5月4日に、真泊(まどまり)・鳥島(とりしま)・儀間(ぎま)の3漁港で行われます。
あぐにハーリー
那覇から北西約60キロほどのところに浮かぶ離島「粟国島」で開催されます。粟国島は、映画「ナビィの恋」の舞台となったことでも知られています。
奥武島ハーリー
沖縄本島南部、南城市の奥武島(おうじま)で、旧暦の5月4日に開催されます。区民が東(アガリ)と西(イリー)に分れて、7番勝負を繰り広げる本バーリーが見どころ。
漕ぎ手が橋から飛び込んで始まる流れ船やレースの途中で船を転覆させるクンケーラーシーなど奥武島独特の白熱した7番勝負が繰り広げられます。
伊江島パーリ
沖縄本島の本部港から村営フェリーで30分のところにある伊江島で旧暦の5月4日に開催されます。
伊江島ではハーリーではなくパーリと呼び、海人によるレースのほか、中学生や一般の参加するレースも行われます。
阿波連ハーリー
那覇から高速船で35分の離島「渡嘉敷島(とかしきじま)」の阿波連ビーチで旧暦の5月4日に行われます。
石垣島爬龍船競漕(はりゅうせんきょうそう)大会
旧暦の5月4日に石垣島の石垣漁港で開催されます。
県随一の迫力!那覇ハーリーの魅力4選

(出典:那覇市より写真提供)
①観光客も歓迎ムード
沖縄の伝統行事であるため、“地域の人たちだけの祭”のイメージがありますが、那覇ハーリーは観光客にも楽しんでもらおうと、開催日をゴールデンウィークにしたり、観光客が参加できるイベントを企画したりしているので、観光客にも敷居の高くないハーリーのひとつ。
②大規模大迫力のレース
沖縄県内各地で開催されるハーリー行事の中でも最大規模のものが那覇市の「那覇ハーリー」。毎年5月のゴールデンウィークの3日間開催されます。
那覇ハーリーでは、他の地域のハーリーで使う“サバニ”とは違い、船首に竜頭、船の後部に竜美尾の装飾がされた“爬龍船(はりゅうせん)”と呼ばれる大型の舟を使います。乗船するのは漕ぎ手32名、鐘打ち2名、舵取り2名、旗持ちなど6名の計42名で、迫力満点のレースが特徴です。
初日は那覇市内の中学校対抗戦、2日目は一般の人も参加できる「ハーリー一般体験乗船」、最終日には、航空会社や軍に所属するアメリカ人チームなど企業・団体が参加する職域対抗戦と御願(うがん)バーリー、本バーリーが行われます。
御願バーリーとは、古式ハーリーの伝統に則った衣装で“ハーリーウタ(歌)”を歌いながら、豊穣を願い、ゆっくりと港内を回遊する儀式。本バーリーは、往復600メートルを競う一本勝負!でその年のチャンピオンを決定します。
③実際に船に乗ってみる体験乗船
2日目には、観光客など一般の人たちがハーリーを体験できる「ハーリー一般体験乗船」が開催され、無料で楽しめます。
④夜はビールを飲みながら、花火とライブを楽しむ
那覇ハーリーでは、ハーリーだけでなく、お笑いステージや音楽ライブ、海上からの打ち上げ花火など楽しみどころも満載です。会場には、グルメ屋台も出店していて、胃袋も大満足です。
夜になると海風が冷たく感じられるので、上着をお忘れなく!
<那覇ハーリー>
【開催日】毎年ゴールデンウィークの3日間
【開催時間】10:00~21:00
【会場】那覇新港ふ頭
那覇ハーリー以外の県内おすすめハーリー3選

(出典:糸満市より写真提供)
①糸満ハーレー
旧暦の5月4日に沖縄本島南部の糸満市で行われる「糸満ハーレー」は、毎年3万人以上の観客でにぎわう、沖縄を代表するハーリーのひとつ。糸満ではハーリーではなく、“ハーレー”と呼ぶのも特徴です。
現役の糸満海人のみが漕ぐ“御願(うがん)バーレー”、現役の中学生が大人と同じ855メートルを漕いで競う“中学生バーレー”、レースの途中でわざと舟をひっくり返す“クンヌカセー(転覆バーレー)”などが行われます。
また、観光客でも参加できる糸満ハーレーの名物が“アヒル捕り競争”。海に放たれたアヒルを制限時間内に捕まえるという、なかなか体験できないイベントも用意されています。
<糸満ハーレー開催情報>
【開催日】旧暦5月4日
【会場】糸満漁港
②塩屋湾のウンガミ(海神祭)
「塩屋湾のウンガミ(海神祭)」は、毎年旧盆明けの初亥(はつい)の日に沖縄本島北部の大宜味村(おおぎみそん)の塩屋湾で行われます。
ウンガミ(海神祭)とは、主に女性中心の祭祀で、五穀豊穣、無病息災を祈願します。約500年の歴史があり、1997年には国の重要無形民俗文化財に指定されました。
祭りの一番の見所は、ゴールを目指して“サバニ”を懸命に漕ぐ海人たちと、それを着物姿で海に腰までつかりながら、太鼓を打ち鳴らして応援する女性たちの力のこもった姿です。
<塩屋湾のウンガミ開催情報>
【開催日】旧盆明けの初亥(はつい)の日
【会場】沖縄県国頭郡大宜味村塩屋湾
③北谷ニライハーリー
「北谷ニライハーリー」は、北谷町漁業協同組合をリーダーに、北谷町の海・観光・宿泊・食に関わる業者が団結して行う北谷町の一大イベントです。
会場では、ハーリーだけでなく、魚のつかみ取りやステージイベント、花火などバラエティ豊かなイベントが開催されます。
<北谷ニライハーリー開催情報>
【開催日】梅雨明け後の日曜日
【会場】沖縄県中頭郡北谷町美浜フィッシャリーナ整備用地
④県知事旗争奪戦 万座ハーリーフェスティバル
沖縄県中北部恩納村の「ANAインターコンチネンタル万座ビーチリゾート」で開催されます。沖縄県内で“県知事旗争奪”を掲げるのはこの万座ハーリーフェスティバルのみです。県内はもちろん、日本各地、海外からもハーリーチームが集まり、熱戦が繰り広げられます。
また、宿泊者チームが1枠設けられていて、ANAインターコンチネンタル万座ビーチリゾートの宿泊客は、大会前日の20時までにホテル内のリゾートセンターに申し込めば、レースに出場することができます。
<県知事旗争奪戦 万座ハーリーフェスティバル開催情報>
【開催日】6月下旬~7月上旬頃
【会場】沖縄県国頭郡恩納村字瀬良垣2260 ANAインターコンチネンタル万座ビーチリゾート
まとめ
いかがでしたか?沖縄各地で行われているハーリーは、地域によって、呼び名や内容も少し違います。伝統に則ったものもあれば、観光客も楽しめるようにイベント化したものまでいろいろです。
ぜひ、今回の情報を参考に地域ごとのハーリーの魅力を体験しにでかけてみてくださいね。
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