1997年、全長1430メートルの海中道路「浜比嘉大橋(はまひがおおはし)」の開通によって、那覇空港から車で直接行くことができるようになったうるま市の離島「浜比嘉島」。
透明度抜群の瑠璃色の海に囲まれた小さな島には、琉球誕生の“琉球開びゃく伝説”が残り、島内には祈りを捧げる30を超える拝所があることから、“神宿る島”、“島全体がパワースポット”などといわれています。
そこで今回は、南部を代表するパワースポット「久高島(くだかじま)」とならぶ神聖な島として、近年人気となっている、信仰と伝説が残る神秘の離島「浜比嘉島」について詳しくご紹介します。
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Contents
浜比嘉島って?

どんなところ?
那覇空港から車で約1時間20分ほどの沖縄本島の東海岸側に位置する「浜比嘉島(はまひがしま)」。まるで海の上を走っているような気分になる海中道路「浜比嘉大橋」で本島と結ばれているため、船に乗り換えることなく、車で直接行くことができる離島です。
周囲7kmの小さな島には、琉球開びゃくの祖神と伝わる「シネリキヨ(シルミチュー)」と「アマミキヨ(アマミチュー)」の伝説が宿り、祈りを捧げる御嶽や拝所が今なお数多く存在しているため、島全体が“パワースポット”となっています。
島内は、浜比嘉大橋を渡って右側にある「浜集落」と左側の「比嘉集落」の2つの集落があり、赤瓦屋根の民家や石垣など、古きよき沖縄の村の佇まいが残っています。そんな趣ある貴重な風景は、坂口憲二さん、松下奈緒さんが出演した映画「本日も晴れ。異常なし」など、映画のロケ地としても使われています。
アクセス
浜比嘉島は、那覇空港から約45キロ。レンタカーを利用するのが一般的で、那覇空港から沖縄自動車道を経由して車で約1時間20分ほどです。
高速道路を使う場合は、空港近くの豊見城・名嘉地I.Cから乗り、沖縄北I.Cで下りるのが良いでしょう。高速料金は普通車で450円。所要時間は1時間10分ほどで、一般道に比べ10分ほど早く着きます。
また、路線バスを利用する場合は、「那覇バスターミナル」から沖縄バスもしくは琉球バスを利用し「JAおきなわ与那城支店前」で下車。続いて、平安座総合開発(バス)に乗り換え、「JA与那城支店前」から乗車し、「比嘉港湾前」で下車します。乗り換えがスムーズにいけば、所要時間は2時間30分で料金は約1,500円。本数が限られているので、タクシーと組み合わせて利用するのも良いでしょう。
パワースポット5選

シヌグ堂
浜比嘉大橋を渡って右手の“浜集落”にある御嶽が「シヌグ堂」。精霊が宿る聖木として知られるガジュマルの大木に守られた島の人たちの祈りの場であり、「東(あがり)の御嶽」とも呼ばれています。
この「シヌグ堂」では、年に2度、旧暦の6月28日と8月28日に、“海が時化(しけ)ることを祈る”という珍しい祭事「シヌグ祭り」が行われます。そのはじまりは、14世紀~15世紀頃、南部の南山(なんざん)、中部の中山(ちゅうざん)、北部の北山(ほくざん)の3国の王がしのぎを削った「三山時代」。戦いに敗れた南山の「平良忠臣」とその家臣たちがこの地に身を隠し、敵が海を渡って襲来しないよう、あえて海が時化ることを祈ったのがはじまりだと伝わっています。
「シヌグ堂」は、木々に囲まれた林の中にあるため、長袖、長ズボン、スニーカーで訪れるのが良いでしょう。
地頭代火ぬ神
浜比嘉島のほぼ中心、浜公民館の敷地内にある「地頭代火ぬ神(じとうでーひぬかん)」。小さな祠の中に「火ぬ神(ひぬかん)=火の神」がよりつく“依り代(よりしろ)”として3個の霊石を祀った拝所で、琉球王朝時代がそのはじまりだと伝わっています。
島では、古くから、旅に出る際には必ずここで祈りを捧げる風習があるほか、立身出世、進学の神様としても有名です。
シルミチュー
琉球開びゃくの祖神と伝わる「シネリキヨ(シルミチュー)」と「アマミキヨ(アマミチュー)」が共に暮らし、子どもを授かった場所だと伝えられる洞窟「シルミチュー」。比嘉集落の南の小高い場所にあります。
旧暦の1月1日、島の安泰を祈願して島内の拝所を回る「年頭拝み(ニントウゥグワン)」では、比嘉集落の“ノロ”と呼ばれる神様に祈りを捧げる女性が海岸から拾ってきた小石をひとつ、洞窟の中の壺に入れて、祈願するという祭事が行われます。
普段は見ることができませんが、洞窟内の鍾乳石の中には陰石(女石)があり、子宝に恵まれるパワースポットとしても知られています。
アマミチュー
浜比嘉大橋を渡って左側の「アマンジ」と呼ばれる岩でできた小さな島に、琉球開びゃくの祖神・アマミキヨ(アマミチュー)とシネリキヨ(シルミチュー)のお墓があり、「アマミチュー」と呼ばれています。
旧暦の1月1日に行われる「年頭拝み(ニントゥウグワン)」では、比嘉集落の“ノロ”が、島の五穀豊穣、無病息災、子孫繁栄の祈りを捧げます。
また「アマンジ」のすぐ隣には、波の浸食など自然の営みによって造られたきのこの形をしたきのこ岩(ノッチ)が見られます。
アガリガー
沖縄で“ガー”もしくは“カー”といえば、自然の湧き水を利用した井戸のことで、水か枯れないことを願う祈りの場にもなっています。
浜比嘉島にはこの井戸が数多く点在し、その中の比嘉集落にあるカーが、集落の東(アガリ)になることから「アガリガー」と呼ばれています。古くから人々の生活を支えてきた大切な場所なので、旧暦の1月1日に行われる「年頭拝み(ニントゥウグワン)」で、ノロが祈願する場所にもなっています。
浜比嘉島の3つのビーチ

浜ふるさと海岸
島の西部にある人口ビーチで、浜比嘉大橋の近くにあります。人工ビーチなので景観や透明度に関しては若干自然のものより落ちますが、管理はしっかりしていて、波もほとんどなく、子供たちも安全に水遊びを楽しめます。
兼久ビーチ
聖地「シルミチュー」に行く途中にある「兼久ビーチ」。手つかずの自然のままのビーチで、海の透明度も抜群です。ビーチの目の前には「クバ島」があり、その名前は、“クバ”というヤシ科の木が生い茂っていることから名づけられました。
実はこの「クバ島」は、琉球大学地理学研究会によって土器や石器が発見された沖縄貝塚時代後期の遺跡です。そんな貴重な島と岩石群が立ち並ぶビーチはちょっぴり厳かな雰囲気が漂っています。
また、手つかずのビーチの良さがある一方、管理されていないため、遊泳を楽しむ時には、十分注意しましょう。
ムルク浜
浜比嘉島唯一のホテル「沖縄 ホテル浜比嘉島リゾート」が管理している自然のビーチ。4月~10月のシーズン中は、シャワーやトイレも完備され、ホテルの宿泊客でなくても泳ぐことができます。
ビーチには、マリンアクティビティの受付があり、シュノーケリング、フライボード、バナナボート、マリンジェットなどのマリンスポーツを事前予約をすれば楽しむことができます。
また、バナナボートで約15分ほどの無人島「南浮原島」へ行ってシュノーケリングを楽しむとツアーもあります。
まとめ

いかがでしたか?島全体がパワースポットといわれる浜比嘉島なら、島内を歩いているだけで、癒しと元気のパワーを充電することができること間違いなしです。
また、浜比嘉島は、沖縄有数のもずく漁がさかんな島でもあります。島で養殖される“勝連もずく”のおいしさは、別格のおいしさと評判。ぜひ、収穫がピークとなる5月にとれたての“生もずく”を味わってみてくださいね。
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