沖縄の方言で「はいさい」といえば有名な言葉かもしれません。
しかし実はその使い方は注意しなければ失礼になってしまうこともあるのです。
そこで今回は沖縄に旅行する前に知っておきたい、沖縄の方言「はいさい」の意味と由来、使い方について紹介します。
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沖縄の方言「はいさい」の意味とは
沖縄の方言「はいさい」は基本的に男性が使う言葉でどうも、もしくはこんにちは、といった軽い挨拶替わりに使われる言葉です。
これは男性用の言葉なので、女性が使う場合は「はいたい」となります。
挨拶程度の方言であれば、どこででも使える言葉だと捉えてしまうかもしれません。
しかしこの「はいさい」を使う際は、実はある配慮が必要になるのです。
「はいさい」を使用する際の注意点とは
ではなぜ「はいさい」を使用する際には注意が必要なのでしょうか。その理由は沖縄の歴史に由来します。
沖縄が日本の領土になったのは1872年。それまでは琉球王国という一つの独立した国でした。
その国の中では日本が独自の文化を持ち発展したように、琉球王国にも独自の文化が存在していたのです。
そしてそこには日本に皇族がいるように、政治や国の経済に関わる位置に王族がいました。
琉球王国にはインドほどではないですが、少なからず身分制度があったのです。
「はいさい」という言葉は、その身分制度の中では平民が使う言葉なのです。
したがって王族もしくは士族の子孫に対して「はいさい」と挨拶することは失礼にあたります。
新入社員が上司にため口で話しかけると、どんな寛容な上司でもムッとした表情になりますよね。
沖縄の方言「はいさい」は使い方を間違えると、それに近い感覚を相手に与えてしまうのです。
しかし同じ沖縄でも地域によっては「はいさい」の解釈が異なります。
首里の周辺では「はいさい」は平民の言葉として認識されていますが、那覇など他の地域になると目上の人に対して使うべき言葉として認識されている場合があるのです。
したがって特に沖縄の年配の人と会話する際は、「はいさい」の使い方には注意を向けることが必要です。
できることなら早い段階で相手の出身地を確認しましょう。
そして、「はいさい」を使いたい場合は、「こんにちは」と挨拶すべきなのか、それとも「はいさい」と挨拶すべきなのか、相手によって使い分けることが大切です。
沖縄の方言「はいさい」の由来を理解しよう
沖縄の方言「はいさい」の由来について考えるのであれば、琉球語への理解が欠かせません。
なぜなら、沖縄の方言のルーツは琉球語にあるからです。
東京や大阪などの本土から沖縄に旅行した際に現地の人の話し言葉が理解できない、ということは少なくありません。
それは東京の人が四国や東北に訪れた際にもあることかもしれませんが、沖縄の方言がきつい人と話そうとするとより会話に困りやすいのです。
しかしそれは仕方がないことなのかもしれません。そもそも言語のルーツが日本語ではないのです。
しかも琉球語は、島ごとにも言葉の違いがあるので、より複雑なのです。
そんな琉球語ですが、大きな区切りで考えると北と南に分けられます。北琉球方言と南琉球方言に分けられるのです。
このように、沖縄の方言は琉球語にルーツがあるといっても細分化して考える必要があるのです。
同じ琉球語でもある地域で使われていた言葉が、他の地域では全く使われていない、ということが起こるからです。
このような前提を踏まえて考えた場合、「はいさい」は那覇付近では頻繁に使われていた可能性が高いといえます。
なぜなら、那覇付近の人達は現在でも「はいさい」には肯定的な解釈を持つ人が多いからです。
沖縄の方言をリスペクトして使用するなら、このような言語のルーツについての理解は曖昧にではなく、しっかりとすべきなのかもしれません。
次ページ:琉球王国と日本の関係とは
琉球王国と日本の関係とは
ではここで琉球王国と日本の関係について振り返ってみましょう。
日本が琉球王国を支配下として沖縄県としたのは1879年ですが、それまで日本と琉球王国には関係が無かったわけではありません。
日本と琉球は貿易関係があったわけですが、それと同時に琉球は江戸時代、薩摩藩の支配下にありました。
しかしその薩摩藩がどのように琉球王国を支配していたのか、ということは定かではありません。
薩摩藩は琉球王国を当時の西洋列強と同じように植民地とじて認識し、奴隷として扱っていたとされる説があります。
その一方で植民地支配などはせずに、琉球王国の政治には関わらず、年貢送付を監督することや、キリスト教の抑制に限られていたという説もあります。
現在ではこちらの、植民地としては扱っていなかったとされる説の方が有力です。
薩摩藩は琉球王国を監視、そして年貢の徴収をしていたが、政治に関する政策は琉球王国に主導権がありました。
琉球王国は日本と中国、そして朝鮮との外交により成り立っていた国だった為、その外交に関する決定事項は琉球王国で決められていたのです。
しかし当時の幕府は琉球や北海道のアイヌを従属させることで力を強めようとしていました。
したがって、政治的判断は琉球王国に委ねられていたかもしれませんが、実質的には薩摩藩の支配下にあったのです。
ただ先ほども伝えたように当時の琉球王国とは中国とも朝貢関係にありました。
貿易という形で中国との外交はあったのですが、それは対等な立場ではなく、圧倒的に中国に有利な条件で行われていました。
その結果貿易では利益を出せず、赤字続きという苦しい外交だったのです。
このような二重支配の元では薩摩藩も琉球王国の全てを掌握することはできません。
1609年の琉球征伐により、1611から琉球王国は実質的に薩摩藩の支配下となりました。
しかしながら、その時点では独立した国家としての体裁は保たれていたのです。
沖縄の方言「はいさい」の使い方
標準語で挨拶をする際は、朝、昼、晩で使いわけますよね。
朝は「おはようございます」、昼は「こんにちは」、そして夜は「こんばんは」と挨拶します。
これは東京や大阪の本土に住んでいれば当たり前のことかもしれません。
しかし沖縄の方言を用いて、これらの挨拶をする場合は、朝、昼、晩で使い分ける必要はありません。
朝でも昼でも夜でも、「はいさい」で良いのです。
「はいさい」は標準語の挨拶のように、時間帯に合わせて使い分ける必要がありません。
ただ「はいさい」は改まった挨拶というよりは軽い感覚の挨拶だと認識しておきましょう。
ハローやアロハ、といった英語やハワイ語を使う際は、日本語よりも軽い感覚になりますよね。それに近い感覚です。
ただ「はいさい」は男言葉なので、女性はあまり使うべきではありません。
沖縄の方言で挨拶したい場合は女言葉である「はいたい」を使いましょう。
沖縄の方言「はいさい」は相手を見極めてから使用しよう
ここまで沖縄の方言「はいさい」の意味と由来、使い方について紹介しましたが、いかがでしたか。
何気ない挨拶の言葉である「はいさい」にも深い由来があり、内地の人間が何の考えもなく軽はずみに使うべき言葉ではないことがご理解いただけたのではないでしょうか。
しかしそれも場所によっては許されます。那覇付近であれば比較的気軽に使えるかもしれませんね。
沖縄旅行で沖縄の方言「はいさい」を使いたい場合は、相手を見極めてから使用しましょう。
また沖縄の文化や方言について深い理解を求めるなら、琉球王国への理解が欠かせません。
日本に統治される前の琉球の歴史を学ぶことで、本当の沖縄を理解するきっかけとなるかもしれません。
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