“沖縄らしさ”を感じさせてくれるもののひとつに「琉球音楽」があります。琉球王朝時代、大国である中国“明”との中継貿易で栄えたことで、音楽も本土の日本とは違った発展を遂げました。
明るく、そして、どこか哀愁を感じる琉球音楽は、今なお沖縄の人々の生活の中に根付き、歌い継がれています。
今回はそんな琉球音楽について詳しくご紹介します。沖縄の音楽がつまった沖縄民謡のCDは沖縄土産にチョイスするのもおすすめです!
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Contents
1.琉球音楽の歴史
日本本土とも東南アジアとも違う独特の空気感のある琉球音楽は、12~15世紀頃に行われていた神遊び(=神に歌を捧げる儀式)が起源とされ、大きく分けて2種類あるといわれています。
ひとつは、琉球王朝時代、首里城の中で奏でられていた「琉球古典音楽」。“琉楽=りゅうがく”とも呼ばれ、琉球音楽に欠かせない三線(さんしん)、琴、笛、太鼓、胡弓によって演奏されるもので、王族など限られた人たちのための音楽でした。
もうひとつは、一般の民衆たちが楽しんだ「沖縄民謡」。三線を弾きながら口ずさむ島唄で、民衆たちの日常の暮らしの中に溶け込んでいった大衆音楽です。
2.琉球音階とは?
琉球音楽を耳にするだけで沖縄の風景が浮かんでくるのは、独特の琉球音階によるもの。
琉球音階は、「ドミファソシド」という5音音階となっています。日本の民謡や邦楽も5音音階ですが、琉球音階は(ド―ミ)、(ソ―シ)の音程と、そのあとに現れる(ミ―ファ)、(シ―ド)の半音との結びつきに特徴があります。
この「ドミファソシド」という音階は沖縄のほか、インドネシや中国雲南省、ヒマラヤ南麓のブータンなどでも見られる音階なんだそう。
しかし、沖縄にある音階は、この琉球音階だけではありません。沖縄本島から離れた八重山諸島では、古くから伝わる歌謡“古謡”として歌いつがれるユンタやジラバには、日本の雅楽と共通する律音階「ド―レ―ファ ソ―ラ―ド」や陽音階(ヨナ抜き長音階)「ドレミソラド」という音階もみられます。
3.琉球音楽に欠かせない三線=サンシン

琉球音楽楽に欠かせない楽器といえば、もちろん、“三線”。三味線のルーツともえわれている楽器です。そんな三線は、中国福建省で生まれた弦楽器「三弦」を原型とするもので、14~15世紀ごろ琉球王国に伝わり、独自に進化を遂げました。
以来三線は、沖縄では、床の間に飾ったり、家族団らんの場で奏でたり、また、両手を左右に振り足を踏み鳴らすカチャーシーを踊る際、指笛とともに場を盛り上げるアイテムとしても欠かせない楽器となっています。
70年前、沖縄が大ダメージを受けた太平洋戦争後にも、人々は物不足の中で、空きかんとパラシュートのヒモで「カンカラ三線」を作り、沖縄民謡を奏で、心を癒したんだそう。沖縄の人たちにとって、三線の音色は心のよりどころでもあります。
4.有名な琉球音楽ベスト3
次ページ:1.安里屋ユンタ
1.安里屋ユンタ
沖縄県の八重山諸島の竹富島に伝わる古謡。『♪サァ 安里屋(あさどや)ぬ くやまによ~』ではじまり、琉球王国時代、竹富島に実在した絶世の美女、安里屋クヤマを歌ったもの。
苛酷な人頭税を課せられら時代、クヤマに一目惚れした琉球王府の役人からの求愛をクヤマが気丈に断ったという話をもとに、二人のやり取りを面白おかしく描いています。
現在も竹富島には、クヤマの生家が残り、その家を取り囲む美しい石垣は、クヤマが芋を掘った帰りに石を一個ずつ持ち帰り、積み上げて出来たものだと伝えられています。
よく耳にする『♪サァ 君は野中の茨の花かサァユイユイ 暮れて帰れば ヤレホンニ 引き止める マタ ハーリヌ チンダラ カヌシャマヨ♪』の歌詞で始まる安里屋ユンタは、星克作詞、宮良長包作曲による新しいバージョンで「新安里屋ユンタ』と呼ばれています。
2.てぃんさぐぬ花
沖縄の教訓歌として有名な民謡。1番から10番まであり、親や年長者の教えに従うことの大切さを伝える教訓歌となっています。
一番の歌詞は『♪てぃんさぐぬ花や 爪先に染みてぃ 親ぬゆし言や肝にすみり』。
てぃんさぐとはホウセンカのことで、沖縄では古くからホウセンカの汁を爪に塗って染めるとマジムン(悪霊)除けの効果があると信じられていることから、ホウセンカでツメを染めるように、親の言うことを心に染めなさいと歌っています。
3.十九の春
沖縄民謡だが古典民謡ではなく、20世紀に制作されたもの。『♪私があなたに 惚れたのはちょうど十九の春でした いまさら離縁と言うならば もとの十九にしておくれ』と始まる歌で、1999年、中江裕司監督の沖縄を舞台にした「ナビィの恋」のテーマソングにもなりました。
この十九の春は、メロディは沖縄音階ではありませんが、不思議な魅力のある歌で、様々な人や地域で、それぞれ違った歌詞や節回しで歌い継がれ、その数は100近くもあるといわれています。
5.琉球音楽のおすすめCD
次ページ:沖縄の歌 決定盤
沖縄の歌 決定盤
沖縄土産にもおすすめの琉球音楽CDを2つご紹介します。
ンナルフォンレコードから1997年に発売。明治~平成に歌われた島唄の中から、地元レコード店のアンケートをもとに超ロングヒット曲だけを集めた沖縄音楽のベストアルバム。料金は3,000円
琉球民謡の三味線音楽だけではなく、THE BOOMの「島唄」、ネーネーズでお馴染みの「黄金の花」、喜名昌吉&チャンプルーズの「ハイサイおじさん」や「花」なども入っていて、琉球音楽初心者にも入りやすい一枚となっています。
収録曲
- 島唄(三線ver)
- 黄金の花
- 十九の春
- 芭蕉布
- 美わしの琉球
- 安里屋ゆんた
- えんどうの花
- てぃんさぐぬ花(本島のわらべうた)
- 沖縄(うちなー)
- 安波節
- ユイユイ(沖縄口ver)
- なんた浜
- 遊び庭
- ハイサイおじさん
- 豊年音頭
- 唐船ドーイ
- 七月エイサー(仲順流れ/クーダーカー)
- 花(三線ver)
SPIRITUAL UNITY 登川誠仁
沖縄民謡界の重鎮として知られる登川誠仁(のぼりかわせいじん)。琉球民謡登川流宗家、琉球古典音楽湛水流名誉師範。
中江裕司監督の沖縄を舞台にした「ナビィの恋」、2002年の「ホテル・ハイビスカス」にも出演。三線の名手であり、かつてはエレキギターもたしなんでいたことから、「沖縄のジミ・ヘンドリックス」なる異名も持っています。
2001年発売された「SPIRITUAL UNITY」は、定番ナンバーを収録したアルバムで、ソウル・フラワー・ユニオンの中川敬も参加。
歌詞は一貫して沖縄の言葉=“ウチナーグチ”にこだわり、淡々と唄う味のある誠仁さんの“ウチナーグチ”の歌声が魅力。沖縄音楽の名盤といわれています。ジャケットの三線を持ちながら満面の笑みを浮かべる誠仁さんを見れば、思わずジャケ買いしたくなってしまいます!料金は3,000円。
収録曲
- くんじゃんジントヨ-
- なりたい節
- 安里屋ユンタ
- 戦後の嘆き
- 緑の沖縄
- 祝い節
- ナークニー~ハンタ原
- 新デンサー節
- ヒヤミカチ節
- 油断しるな
- 島の花
- 具志川ナークニー
- ゆしぐとぅぬ宝
- かたいなか
- 旅の空に
- うたのこころ
沖縄で“生”の琉球音楽を聴こう
いかがでしたでしょうか。今回は沖縄の歴史的な音楽である「琉球音楽」についてご紹介いたしました。
沖縄を訪れたら、ぜひ、“生”で琉球音楽を聴きたいですよね。そんな人におすすめなのは、沖縄民謡を間近で楽しめる民謡居酒屋。
音楽だけじゃなく、沖縄料理や泡盛を味わいながら生演奏が聴けるとっても贅沢なスポットです。盛り上がってくると、観客も一緒に踊るカチャーシーがはじまり、思いっきり楽しめること間違いなし!
民謡酒場として有名なお店は、那覇の国際通りの「島唄と地料理とぅばらーま」、沖縄民謡を代表するアーティスト、ネーネーズのホームグラウンド那覇市の「ライブ&沖縄料理 島唄」、今帰仁村の「民謡居酒屋 ちゃんぷるー」など。ぜひ、沖縄の夜は民謡居酒屋へり出してみてくださいね!
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