那覇市の高台に位置する首里城は、沖縄観光で絶対にはずせない観光名所と言われます。
1429年から1879年までの450年間、沖縄本島を中心とする琉球の島々に「琉球王国」という独立した王国が存在しました。
離島からなる小さな王国にもかかわらず、日本や中国、東南アジア諸国とも積極的に外交や貿易を行って海洋国家として栄え、独自の文化が花開きました。
琉球国王の居城であり、王国の政治・経済・外交・文化の中心地でもあった首里城は、琉球王国とその歴史・文化の象徴なのです。
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首里城の歴史
首里城は、正確な築城年も、築城主もわかっていません。しかし発掘調査の結果、14世紀末にはすでに存在したことが判明しています。
政争や火災でこれまでに4度も焼失しており、現在の姿は1945年の沖縄戦で全焼後1992年に再建されたもので、1712年頃再建された首里城を復元しています。
しかし現在一般公開されているのは、約5ヘクタールの敷地の約3分の1のみ。
首里城では、現在も発掘調査と復元作業が進行中なのです。2000年12月、首里城跡が「琉球王国のグスク(城)及び関連遺産群」のひとつとして世界遺産に登録されました。
首里城の知ってると得する情報4つ
歴史古く、世界遺産でもある首里城は沖縄観光でも欠かせません。ここからは、敷地も広く見どころが沢山ある首里城の意外と知られていない情報4つをご紹介します。
首里城には無料ゾーンと有料ゾーンがある
基本的に首里城内は有料区間になっています。また、無料ゾーンでも営業時間が決められた部分とそうでない部分があります。
無料ゾーンでも、外からの首里城を楽しむことができたり、気持ちの良い散歩道となっています。
また夜には毎日、首里城がライトアップされます。夜にライトアップを見ながら散策するのもおすすめです。
季節等によっても開館時間が異なるので事前にチェックが必要です。本記事の最後に営業時間等基本情報をご紹介します。
御開門式(うけーじょー)を見てみよう!
毎朝、首里城公園奉神門(有料区域入口)前で御開門式(うけーじょー)が行われます。
御庭では琉球古典音楽や御座楽(BGM)が流れ、沖縄を感じることができます。朝活を兼ねて訪れてみませんか?
- 実施日:毎日(休館日除く)
- 時間:8:25~8:45
- 場所:御庭に琉球古典音楽や御座楽(BGM)が流れます
ガイドさんの首里城ツアーに参加しよう
首里城では専任の無料ガイドさんおり、解説しながら城内を案内してくれます。受付場所は南殿・番所入口、出発時間は1日6回(9:00 / 10:30 / 13:00 / 14:00 / 15:00 /17:00)で、案内時間は約50分間です。
予約はできませんので、開始時間に集合場所に行って申し込みましょう。
音声ガイド「音えんぴつ」の貸し出しもあり
マップにえんぴつをかざすと音声で、その建造物等の解説を聞くことができます。また、日本語だけでなく英語・中国語・韓国語で解説を聞くこともできます。
時間を気にせず自分のペースでまわりたい方や多言語で解説を聞きたい方におすすめです。
次ページ:首里城の見どころ11選
首里城の見どころ11選
首里城は「外郭」と「内郭」の二重の城壁に囲まれており、外郭部分に4つ、内郭部分に9つの門があります。ここでは、主な見どころをご紹介します。
守礼門(しゅれいもん)
到着してはじめに目にするのが、鮮やかな朱塗りと琉球赤瓦が美しい「守礼門」。
かつては首里の城下町への入り口でした。「守禮之邦(しゅれいのくに)」という文字が刻まれた額は、かつて中国からの使者訪問がある際に掲げられた額で「琉球は礼節を重んずる国です」という意味。
守礼門の建築様式は、牌坊(はいぼう)という中国の伝統的な門の建築様式と、入母屋造(いりもやづくり)という東アジア特有の屋根の建築様式が融合した琉球建築の典型と言われています。その姿は2千円札の図柄に採用されています。
歓会門(かんかいもん)
外郭の最初の門で、ここから先が城郭内です。まるで王を守るかのように、門の両側には魔除けのシーサー(獅子)像が鎮座しています。
奉神門(ほうしんもん)
「漏刻門(ろうこくもん)」や「広福門(こうふくもん)」をくぐり、「奉神門」をくぐると首里城正殿のある御庭(うなー)です。ここから先は有料区域です。
御庭(うなー)
正殿へ通じる中庭部分。正面に正殿、向かって右側に「南殿・番所」、左側に「北殿」があります。御庭には磚(せん)という瓦が縞状に敷かれ、正殿に通じる中央の赤い通路は浮道(うきみち)と呼ばれます。
この浮道は曲がっており、御庭も歪んだ台形をしていますが、その理由はわかっておらず、風水説など諸説が存在します。発掘調査からもともとは正方形だったことがわかっているので、何らかの理由で意図的にこの形にされていることは確かです。
御庭のほかにも、首里城には解明されていない事柄がいくつかあります。そのミステリーに思いを馳せながら城内を巡るのも興味深いですね。
正殿(せいでん)
鮮やかな朱色と、龍や獅子の彫刻が散りばめられた3階建ての正殿は、沖縄県内で最大の木造建築物です。
中国の宮殿建築様式と日本の建築様式が融合して琉球独自の建築様式が生まれ、華やかさと格調の高さを兼ね備えた宮殿となっています。
日本の城にない特徴のひとつとして、御差床(うさすか)と呼ばれる国王の玉座が挙げられます。
1階部分は下庫理(しちゃぐい)と呼ばれ、国王の執務の場でした。金の龍と五色の雲が描かれた朱柱に囲まれた御差床で国王が政治や儀式を執り行っていました。
2階部分は「大庫理(うふぐい)」と呼ばれ、王妃や国王の親族、身分の高い女官たちが使用し祭祀などを執り行っていました。
2階部分の南東には「おせんみこちゃ」という部屋があり、ここで国王は毎朝、女官とともに東に向かって礼拝をしていたと言われます。
首里城の正殿を始め、琉球王国の建築物のほとんどは、中国が位置する西を向いて建てられています。
北殿(ほくでん)
正殿に向かって左側にある「北殿」は2000年の沖縄サミットの晩餐会の会場となり、各国の要人がここでもてなされました。
首里城のミュージアムショップもあり、ここでのみ購入可能なオリジナル商品が揃っています。
南殿・番所(なんでん・ばんどころ)
正殿に向かって右側に位置する建物が「南殿」と「番所」です。向かって左側の2階建ての建物が行事に使われていた「南殿」、右側の平屋が登城した人々の取次所だった「番所」です。
現在は資料や美術工芸品の展示がされています。
鎖之間(さすのま)
正殿に次いで大きな木造の書院。王子などの控所であり、「御鎖之間」(おさすのま)と呼ばれる広間や「裏御座」(うらござ)と呼ばれる茶室があります。
ここでは有料で、琉球漆器にて供される4種類の琉球伝統菓子とお茶のセットを楽しむことができます。
正殿周辺の見どころ
広い首里城公園の敷地内には、そのほかにも数多くの施設や遺跡が点在しています。
京の内(きょうのうち)
御庭の手前にある広場「下之御庭」(しちゃぬうなー)の南側にある、緑にあふれた丘陵部。城内で最も大きな儀式場で、その広さは首里城内郭の約20%を占めます。
「京の内」とは「霊力のある聖域」という意味で、ここで神女たちによって様々な祭祀が執り行われていました。
首里森御嶽(すいむいうたき)
下之御庭にある祈りの場。「首里森」(すいむい)とは首里城を指し、「御嶽」(うたき)とは祭祀を行う礼拝所を指します。
首里城には「十嶽」(とたけ)と呼ばれた10カ所の礼拝所がありました。そのなかで首里森御嶽は神が造った聖地と考えられ、首里城内で最も格式の高い御嶽とされていました。
首里杜館(すいむいかん)
ここはインフォメーションセンター兼休憩所になっています。展望台もあり、いにしえの琉球王が眺めたのと同じ沖縄の眺望を楽しむことができます。
情報展示室のほか総合案内所、売店、レストランのほか救護室もあり、地下は駐車場になっています。
首里城正殿までは、徒歩で約15分です。
首里城の基本情報
位置・料金・アクセス・駐車場情報・所要時間
基本情報
・名称:国営沖縄記念公園(首里城公園)
・住所:沖縄県那覇市首里金城町1-2(首里城公園管理センター)
・開園時間:
4月~6月 / 10月~11月:8:30~19:00
7月~9月:8:30~20:00
12月~3月:8:30~18:00
※入館券の販売は閉館の30分前まで
・電話番号:098-886-2020
・入場料:一般 大人:820円/高校生:620円/小・中学生:310円/6歳未満無料
※ゆいレールのフリー乗車券(一日券・二日券)を提示すると、個人でも団体料金が適用されます
・公式サイト:首里城公園
那覇空港からのアクセス
那覇空港から首里城のある首里城公園までの距離は、約10kmです。
電車の場合:
モノレール「ゆいレール」乗車、 首里駅にて下車(乗車時間27分)。守礼門まで徒歩約15分
首里駅から路線バス(首里城下町線8番)に乗る場合は首里城前バス停下車、守礼門まで徒歩約3分
車の場合:
首里城公園まで約40分〜60分
訪問の際の注意点
首里城公園は、貿易の要であった那覇港を臨む、標高120メートル~130メートルの小高い丘の上にあります。
琉球王国時代の姿を再現しているため坂や階段が多いので、歩きやすい靴で訪れると良いでしょう。
まとめ
膨大な資料を分析して往時の姿が再建された首里城は、琉球王国が謳歌した繁栄の姿を鮮やかに私たちに伝えてくれます。
その圧倒的な美しさだけでなく、無料ガイドさんと巡ったりイベントに参加することで、琉球王国独自の文化につかの間浸ることができるのも、本土の城巡りにはない魅力。
沖縄を訪れたらぜひ首里城を訪ねて、沖縄という場所の歴史とスピリットを身体で感じてみましょう。
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